信用情報の社内登録期間と共有範囲
2016/07/23
信用情報は銀行や信販会社、消費者金融会社がそれぞれの会社ごとに独自に蓄積保有している取引履歴などの情報と、信用情報機関に登録された情報に分けられます。
会社が保有する情報と、信用情報機関が保有する情報とでは保存期間や運用の仕方が全く違います。ここでは会社が保有する情報の保存期間についてまとめてみたいと思います。
信用情報機関の情報が消えたからといって各社が保有する情報が消えるわけではない
信用情報機関が保有する情報は保有期限というものが定められており、契約終了後一定期間でその情報は削除されます。しかし、各社が保有する情報は信用情報機関の情報が消えたからといって削除されるわけではありません。
信用情報機関と各企業はそれぞれ異なる情報保有期限を定めています。そのため信用情報機関の情報がクリーンになっても、以前長期間滞納したカードに再度申込みをしても「瞬殺」で審査落ちとなってしまうことが多々起こり得ます。
信用情報機関の情報がクリーンになったからといって、過去の情報がこの世の中から一切消えてなくなるわけではありません。
各企業の持つ情報はどこまで共有されるのか
個人情報保護法等の関係法令に基づき銀行や信販会社、消費者金融会社は個人情報の取り扱いに関する規定を必ず設けており、公表しています。「個人情報保護宣言」「プライバシーポリシー」といったタイトルで店頭パンフレットや各社のサイトで必ず公開されています。
個人情報保護規定の中には、「どういった時にどういった情報を入手するか」「誰と共有するのか」という条項が必ず入っています。
信用情報機関の情報は加盟会員で共有できますが、各企業の個人情報は「誰と共有するのか」で明示した相手としかその企業が持つ情報を共有することは出来ません。そのため信用情報機関の情報が期限経過で削除された場合、過去の情報を持ち得るのは取得したその企業と共有先として明示された企業のみということになります。
もしこれに違反して明示していない企業や団体と情報共有をした場合は行政処分の対象となりますから、銀行や大手の信販会社や消費者金融は情報の共有には相応の神経を使っています。
各企業の持つ情報はいつまで保存されているのか
取得した情報をいつまで保存するかについては書かれていないのが一般的です。各社が規定する個人情報保護規定には「公表事項」と「非公表事項」に分かれており、取引に関する情報やその保存期間については「非公表事項」とされていることが多いためです。
金融庁の「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」には、「(取得した個人データは)契約終了後一定期間内とする等、保有する個人データの利用目的に応じ保存期間を定め、当該期間を経過した個人データを消去することとする。」と定められており、各社この規定に従って契約類型や取引類型に応じて個人情報の保存期間を内規で定めています。
あくまでも内規ですので会社によって保存期間は異なりますが、契約終了後一定期間で個人データは消去されることになっています。「個人データ」というちがう表現が出てきますが、これは実務上の表現で「"特定の個人"の情報」という意味合いで使われています。
しかし消去される個人データは契約が終了となったものだけです。
契約が終了していない情報に関しては削除することがないというのは各社共通です。たとえ長期間返済がなかったり、連絡がつかず回収の見込みがなかったとしてもその情報はずっと保存されています。なぜなら、たとえ返済がなかったとしても契約は依然として続いたままだからです。
契約終了となるには
契約終了となるのは、割賦契約(分割払い)やローンの場合は完済、クレジットカードやカードローンの場合は完済に加えて有効期限切れまたは解約で契約終了となります。これらの終了事由は実務上「完了」あるいは「正常終了」と呼ばれ、契約通り何の問題もなく契約が終わったものとして扱われます。
「正常終了」があるということは、正常ではない終了でも契約が終了することがあるということです。
信用情報機関の情報が保有期間経過で消えても契約が出来ない、俗に「社内ブラック」となってしまう契約終了原因がこれにあたります。破産や消滅時効の援用といった法の定めによる債権消滅による契約終了がその代表例です。そのほか、保証会社が代わりに支払った代位弁済でも契約終了となります。また、差押えや競売等の強制執行手続きを経て完済となった場合にも正常終了ではない契約終了として扱われます。
個人向け債権ではあまりありませんが、貸倒処理をした場合にも貸倒で契約終了となります。
任意整理や特定調停等の和解後の完済
弁護士や司法書士が介入して契約通りに返済が行われなかった事実は記録として残ります。
従って、任意整理や特定調停を経た完済は社内情報の上では、通常の完済とは異なる扱いがなされることが一般的です。
ただし、過払い金請求に関しては請求者にとって不利になる扱いが禁止されていますので、過払い発生による残債相殺による完済の場合、正常終了として扱われます。
正常終了契約については一定期間で消去される
完了契約の情報に関しては多くの金融機関では10年が最低保有期限となっています。資金決済法等の法律の法定保存期間の最も長い期間が10年なのでそれに合わせているためです。あくまでも内規ですので、10年経てば自動的に消去されるというわけではありません。
銀行の場合、預金口座を開設していたり住宅ローン等のその他の契約がある場合には顧客との取引履歴として10年経過後も解約後の契約についての情報を保存しています。信販会社でも同様の運用がなされているので、消費者金融会社でも同様の運用がなされているはずです。
契約に関するすべての情報を併せて保存しているかというとそうではなく、私の勤めていた銀行では月々の支払い情報等の詳細な情報もずっと保存しているわけではなく、「どこの支店でいつ契約していつ完了したか」という程度の情報のみでしたので保存内容については運用上かなりばらつきがあるものと思われます。「何の取引もなければ一定期間で消えます」といったところです。
正常終了ではない契約情報の保存期間
ここをご覧の大多数の方が関心があるのは、おそらく「正常ではない終了」となった契約情報の保存期限についてかもしれませんが、これについては会社によって異なることは勿論のこと、同一会社であっても契約内容や終了原因によってかなりばらつきがあります。
一般的な傾向として、長期の延滞後に元利ともに返済された場合には正常な契約終了と同じ扱いがなされることが多く、破産をはじめ元本の回収が出来なかった事案については長期に渡ってその情報が保存されます。
永久保存されることはあるのか
情報ごとに保存期間を定めなければならないため永久保存されることはありません。ただ、「50年間保存」といったかんじで事実上永久保存に近い保存期間を定めることは可能です。仮に30歳で破産免責を受けたとしてその情報が50年間保存された場合、80歳で新たな融資を受けることは困難です。そのため事故情報が長期に渡って保存されると「社内ブラック」といわれる状態に陥ります。
もっとも、社内ブラックであっても一定期間経てば再契約をすることが出来ることはあります。なぜなら、あまり古い信用情報は審査においてあまり参考になる情報ではないため、それほど重要視されることはないからです。そのため以前任意整理をしたところであっても、低額の借入で他社借入がないような状態だとあっさり契約できることがあります。
契約できるかどうかはあくまでもその時の審査次第です。
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