ゆうちょ銀行カードローン事業に参入へ。利便性という点では歓迎できる話題です。
2017/02/03
ゆうちょ銀行が個人向けローン商品の取り扱いに本格参入する方向で政府と最終調整に入る見込みであることが26日分かりました。
2008年に一部の郵便局でスルガ銀行の住宅ローンの代理販売を行ってきましたが、ゆうちょ銀行自身が直接個人向けローンの販売を行うのは今回が初めてとなります。
郵便局のATMは全国各地津々浦々に設置されているのでもしゆうちょのカードローンが誕生すれば消費者としては新たな選択肢が増えるという意味では歓迎できる話です。
実は現在でも郵便局でカードローンは作れます
あまり知られていないかもしれませんが、現在郵便局でカードローンを作れないわけではありません。
先ほど触れた郵便局で取り扱っている住宅ローンの販売元であるスルガ銀行の口座「スルガ銀行ゆうちょ専用支店」を郵便局で開設すればカードローンの契約ができます。
しかし、このカードローンはあくまでもスルガ銀行のカードローンであって郵便局が販売しているカードローンではありません。
また、取り扱いをしている郵便局が各都道府県の中央郵便局など一部の郵便局に限られているという事情も手伝ってカードローンに関しては全くPRをしていないに等しい状態です。
ようやく個人向けローン分野への進出がかなうゆうちょ銀行
ゆうちょ銀行は郵政民営化に伴い設立された日本郵政の時代から個人向けローン分野、特に住宅ローンの販売を模索してきました。
しかし、国がバックについていて国内最大規模の預金残高を誇るゆうちょ銀行の個人向けローン分野への参入を警戒する声は根強く、住宅ローンでの提携を申し入れた主要地方銀行からは提携拒絶が相次ぎ、提携先探しですら難航してきたという経緯があります。
収益確保に苦しむ地方銀行が多い中でゆうちょ銀行との提携は決して悪い話ではなかったはずですが、それ以上にブランド力や店舗網を含めた営業力に勝るゆうちょ銀行に縄張りを荒らされることを嫌った銀行が多かったのがその理由です。
主要地方銀行に断られ続けてようやく決まった提携先が静岡県の地方銀行であるスルガ銀行だったというわけです。
スルガ銀行は地銀というよりは半分ネット銀行のような、リテール分野(個人向けサービス)に強みをもった銀行です。
今でこそ当たり前のインターネットバンキングが普及する前からいち早くネットバンキングサービスを開始したり、ANAマイルがポイントとして貯まる年会費無料のデビットカードサービスを開始したりする等、ネットインフラを通じて積極的に個人向けのサービスを提供しています。
個人向けサービスに強い上に新しいサービスを積極的に提供しているスルガ銀行だからゆうちょ銀行との提携に踏み切れたといってもいいかもしれません。
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なぜ今、ゆうちょ銀行はカードローン分野へ参入するのか
ゆうちょ銀行の最終目標は住宅ローン分野への参入ですが、現時点で住宅ローンは低金利競争で満足な収益が見込めないため当面住宅ローン分野への参入は見送り、カードローン分野を足掛かりに個人向けローン分野へ参入するようです。
ゆうちょ銀行が新分野に参入するためには政府の認可が必要となります。ゆうちょ銀行は以前から政府に対して住宅ローンや法人向け融資の認可申請を出してきましたが、スルガ銀行との提携の件のように、提携ですら猛反発をするほど銀行業界の反対が根強く、長らく様子見の状態が続いてきました。
しかし、2015年にゆうちょ銀行が上場したことで銀行業界の反発にばかり配慮してはいられなくなってしまいました。上場するということは収益をあげ株主に還元することが求められるからです。昨年ゆうちょ口座間の送金手数料を復活させたのも収益改善を迫られた結果です。そして収益改善策の次の一手がカードローン分野への参入です。
ゆうちょ銀行は貯金資金の大部分を国債で運用しており、近年のマイナス金利政策をはじめとする超低金利政策で運用難に陥っており、政府もゆうちょ銀行の経営基盤を強化する必要に迫られ個人向けローンへの参入を認可せざるを得なくなってしまったという事情が参入の背景にあります。従って積極的な理由でカードローン分野に参入してくるわけではありません。
認可がおりる背景がどうであれ、ゆうちょ銀行にとっては念願の個人向けローン分野への参入の目途がつくことになります。しかし、経営状態のことを考えると手放しに喜ぶわけにはいかない何とも複雑な気分でしょう。
経営上の問題の他にカードローン分野への参入には他に忘れてはならない問題があります。
カードローンの過剰貸付問題をどう予防し対処するのか
個人向け融資、特にカードローンに代表される無担保融資には常に過剰与信・過剰貸付という問題がついてまわります。
一昔前ほどではないにせよ、過剰貸付による多重債務問題が完全に解決したわけではありません。2016年末には銀行カードローンに関しても金融庁が実態調査に乗り出したばかりです。
民営化したとはいえ、ゆうちょ銀行の発行済み株式の74%を保有する筆頭株主は日本郵政であり、その日本郵政の発行済み株式の約80%を保有するのは政府です。運営実態の面でも資本的な面でもゆうちょ銀行は公営企業です。
他の銀行同様カードローンの実質的な審査や延滞債権の管理は保証会社に丸投げ状態になるかと思いますが、「貸せるだけ貸して量で損失をカバーする」という従来型の無担保融資のやり方をそのまま持ち込むと遅かれ早かれ社会問題化します。しかも、ゆうちょ銀行の場合は公的性質の強い銀行なのでその批判が一層強くなるはずです。
ゆうちょ銀行はこの点も踏まえて商品設計と与信管理を行う必要があります。
一部地銀や信金、セブン銀行のようなカードローンが望ましい
ほとんどのカードローンは利用限度額と金利ともに幅を持たせて設定されています。
例えば、「利用限度額最大500万円、実質年率3%-15%」といった感じです。
このようなタイプのカードローンは審査によって利用限度額と金利が決まるため、申込み段階では利用限度額がいくらになって金利がどのくらいになるのか分かりにくいという欠点があります。
加えて、利用実績や契約者の属性に応じて利用限度額があがっていくため過剰与信・過剰貸付の原因になることもあります。
カードローンの中にはそのようなタイプの商品の他に、利用限度額が予め決められており金利が固定されたものがあります。
例えばセブン銀行のカードローンの場合、利用限度額は10万円・30万円・50万円の中から選択できるようになっており金利(実質年率)は一律15%(2017年1月現在)となっています。
セブン銀行以外でも信用金庫や一部地銀でもこのようなタイプのカードローンを取り扱っています。
このようなカードローンは先にあげたカードローンに比べ、利用限度額と金利も申込み段階ではっきりと分かり、また、限度額の設定も比較的低額なので過剰与信・過剰貸付を生みにくいというメリットがあります。
ゆうちょ銀行の性質上、前者のような大型枠を備えたカードローンはふさわしくないと個人的に思っています。
どんな商品を出してくるかに関して現時点では全く分かりませんが、あまり利用限度額が高くないカードローン版簡易保険といった感じの商品であれば利用者のニーズとゆうちょ銀行の公営企業的な性質とを両立し得るはずです。
ゆうちょ銀行のカードローン参入時期は未定
現時点では具体的な参入時期については明らかになっていませんが、早くても2018年から2019年頃になる見込みです。商品設計次第では他社のカードローン事業に影響を与える可能性があります。
貸出金利も含めて魅力的な商品になると私たち一般消費者にも何らかの恩恵があるかもしれません。
以上国内最大の金融機関がついにカードローン事業に乗り込んでくる、というニュースでした。
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